お待たせしました!第2回「神鉄検定」(中級編)の解答です。
1.昨年11月28日で開通80周年を迎えた神戸電鉄。 20年前の開通60周年時、装飾列車として運転されたのは? 編成番号(○○○○F)でお答え下さい。 |
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【正解】1101F(1101-1201-1102) 1153F(1153-1252-1154)の2編成 特大ヘッドマークとモールで装飾された2編成が、通常の3連運用として全線を走行しました。 ちなみに運転されたのは11月28日の一日限りでした。 谷上駅に停車中の1153F。増結用の1361F2連と共に、当時の最新編成でした。 →開通60周年記念列車の運転風景はこちらへ! |
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2.神戸電鉄で3両編成の運転が初めて開始されたのは、次のうちいつ? | ||||||||||
@1966年4月1日 A1966年4月18日 B1967年5月20日 C1968年4月7日 | ||||||||||
【正解】@1966年4月1日 同日付のダイヤ改正より、有馬線急行列車において3連運転が開始されました。 当時の一日当り運用列車数は3連2本・2連20本・1両1本の合計23本47両で、少数ながら単行運転の 記録も残っています。 Aは粟生線の3両編成運転開始日で、有馬線準急・普通列車の3連運転が開始されたのはさらに後のB、 Cは神戸高速南北線の開業日です。 尚、三田線での3連運転開始は一番遅く、1968年10月10日の事でした。 昭和41年頃の丸山〜長田間を行く800系とデ1000形。まだ2連運用が大半で 幅を利かせていた頃の風景です。 (写真ご提供 松井正史氏) |
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3.下記の旧駅名について、現在の駅名をお答え下さい。 | ||||||||||
@峠 A広野新開 B唐櫃 C久留美 D鈴蘭ダンスホール前 E鷹取道 | ||||||||||
【正解】@山の街 A広野ゴルフ場前 B有馬口 C恵比須 D鈴蘭台西口 E丸山 【一口メモ】 @山の街駅が現駅名で登場するのは1935年3月15日です。 開業当初は「峠駅」の記録がありますが、当時の沿線案内上や運賃表には「峠駅」の記載がありません。 叉、同時期の国土地理院1/25000地形図上には「峠信号所」と表記されている事から、当時は駅と してではなく、信号所としてのスタートだったのかもしれません。 かつては駅の上り方に留置側線が2本あり、駅舎内には大型の継電連動装置が設置されていました。 留置側線には工事用の貨車が常時留置され、時折教習用の電車や終後工臨のデキ・デヤが鎮座ましまして いたりと、模型のレイアウトのような楽しい光景が見られたものです。 山の街の留置側線で教習実施中の1117F。 当時は試運転や教習用の列車にも行先表示がされており、「山の街」行の表示も 実際に使用されていました。 →1983年5月の山の街駅の様子はこちらへ! Aの広野ゴルフ場前は、戦時中の外来語追放で1942年12月22日に「広野新開」と改称され、戦後の 1951年4月1日に再び元の駅名に戻っています。 交換設備設置工事中の広野ゴルフ場前駅(1984年8月撮影) 同年10月5日のダイヤ改正より供用を開始し、単線区間におけるラッシュ時の 輸送力増強に貢献しています。 Bの「唐櫃」は1951年3月20日に「有馬温泉口」と改称後、3年後の1954年9月1日に現駅名に改称 されました。 2006年の脱線事故を契機として大規模な修繕工事が施されたのは周知の通りです。 現在も社内の駅名略号には「K」( 唐櫃の頭文字)が使用され、往時の名残を残しています。 面目を一新した有馬口駅。早朝時間帯には1〜4番線までの全列車停車風景を 見る事もできます。 Cの「久留美」は現在も三木市内に同名の地名が残っているので、地元の方はすぐお分かりでしょうね。 改称は1939年4月1日です。 2002年3月21日には三木市の「恵比須駅前周辺整備事業」の一環で全面改装され、第三回「近畿の駅 百選」にも選定されています。 改築前(左・1983年4月)と、改築直後(右・2003年3月)の恵比須駅。 現在では駅前ロータリーも整備され、淡路瓦を使用した立派な駅舎に生まれ変わっています。 Dの「鈴蘭ダンスホール前」は、当時の鈴蘭台が別荘地として売り出された歴史を物語っています。 「広野新開」と同日、やはりカタカナ追放で「小部西口」と改称、1962年9月1日に現駅名に改称 されています。 神戸方は鈴蘭台に向けて50パーミルの下り勾配で、ホーム上に設置された勾配票がユニークです。 鈴蘭台西口を発車して、一路志染へと向かうありし日のデ300形。 ホーム一面の小さな駅で、箱庭のような風景ですね。 Eの「鷹取道」は1948年10月1日に現駅名に改称されますが、1952年10月1日には頭に「電鉄」の文字を 冠して「電鉄丸山」と改称されました。 ちなみに神戸電鉄で駅名頭部に「電鉄」を冠していたのは丸山・横山・木津・木幡・栄・三木・大村・市場・ 小野の9駅で、旧国鉄との連絡運輸を行っていた当時、同名の国鉄駅名と誤使用を避ける為の措置でした。 いずれも1988年4月の社名変更時(神戸電気鉄道→神戸電鉄)に「電鉄」の文字を外し、現駅名となっています。 50パーミルの急勾配を下って、丸山駅に進入する5000系。 鵯越から丸山に掛けては眼下に大阪湾が望まれ、海と神鉄との組合せが見られる 数少ないポイントです。 |
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4.1998年3月22日のダイヤ改正で消滅した、有馬〜三田線系統の特急列車。 新開地〜三田間の停車駅をお答え下さい。 |
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【正解】湊川・鈴蘭台・北鈴蘭台・山の街・谷上・有馬口・岡場・道場南口・横山 1988年4月2日の北神急行開通を契機に設定された特急運用は、当初3往復でスタート。 新開地〜三田間を最速47分で結びました。 デビュー時は1000系列3連での運転でしたが、1991年の公園都市線開業に伴い4連に変更されています。 当時はまだ4ノッチ使用前で最高速度も70km/hに制限されており、これらを考慮すればまずまずの俊足?を 保っていたと思いますが、三田線内の特急通過駅に不便を強いていた事もあり、登場からわずか10年後の 1998年3月、快速列車に統合される形で姿を消しました。 三田へ向かう3000系の特急列車。赤地に白抜きの「特急」表示が誇らしげでした。 尚、1988年の特急列車登場時には、同時に高性能車のスピードアップも実施され (最高60km/h→70km/h)800系使用のK3連運用以外は全車3ノッチを使用する ようになりました。 |
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5.神戸電鉄で一番標高の高い駅は、次のうちどこ? |
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@有馬温泉 A北鈴蘭台 B大池 C鈴蘭台西口 | ||||||||||
【正解】 @有馬温泉 有馬温泉は神鉄最高峰の駅で、標高357m。Aの北鈴蘭台駅は346m、Bの大池駅は350m、 Cの鈴蘭台西口駅は304mと、いずれも標高300m超の駅です。 左は開業当時の面影を残す旧有馬温泉駅舎。1989年10月に近代的な姿の新駅舎に生まれ変わりました。 第一回「近畿の駅百選」にも選定されています。 |
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6.六甲山系を縦断し、急勾配区間が随所に介在する有馬線。 50パーミルの急勾配比率は?パーセンテージでお答え下さい。 |
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【正解】36.7% 全線の1/3以上が50パーミルの有馬線。 これだけでも驚きですが、30パーミルを越える区間は58.4%、有馬線全線における勾配区間は86.5%の比率で、 いかに連続急勾配が続く過酷な路線であるかがお分かりかと思います。 ちなみに粟生線の50パーミル区間は20.6%。 三田・公園都市線には30パーミルを越える勾配区間はなく、神戸電鉄においては比較的平坦な路線となっています。 鈴蘭台を発車した1076F4連の新開地行。終点までは下り片勾配の過酷な条件が続きます。 連続急勾配の介在する神戸電鉄の車両には、他社にはない独特の安全対策が施されているのも 興味深いところです。 →急勾配に挑む神戸電鉄の車両概要についてはこちらへ! |
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7.神戸電鉄の最急勾配は50パーミル。それでは、本線上で最も急曲線が存在するのはどこ? 区間と半径をお答え下さい。 |
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【正解】粟生線 葉多〜粟生間(165m) 神戸電鉄の本線上における最小半径曲線は、粟生行電車が加古川を渡り終えて県道349号線とクロスする 粟生踏切を過ぎ、JR加古川線を避けるようにして北側にカーブするR165の曲線部分です。 尚、分岐に付帯する曲線部分(本線・構内を含む全線)という事になると、藍那駅西方の上り線に付帯する R160の曲線が最急曲線となりますので、こちらでも正解とします。 R165の急曲線を軋ませて、志染へと向かう800系3連。後方は国鉄(現JR)の加古川線です。 |
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8.14年ぶりの新形式車として登場した、ステンレスの6000系車両。 竣工日は次のうちいつ? |
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@2008年3月19日 A2008年4月17日 B2008年6月4日 | ||||||||||
【正解】@2008年3月19日 竣工日は@で、車籍上は2007年度の登場です。 ちなみにAは、代替廃車となった1060・1123・1212の除籍日で、Bは6000系の営業運転開始日です。 14年ぶりのニューフェイス6000系。登場以来、営業運転以外でも各種イベントで 引っ張りだこの人気者です。 登場した2008年の約半年間でも、4種類のヘッドマークが前面を飾っています。 →6000系の車両ガイドはこちら! |
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9.2008年12月31日現在、神戸電鉄の在籍車両で最古参の車両は?(事業用車両を除く) 形式と車両番号をお答え下さい。 |
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【正解】デ1100・サ1200形(1101-1201-1102) 竣工年月日は1969年8月26日。今年で満40歳、最古参の営業車両です。 こちらより番号の若い1062は1974年5月25日竣工、デ1070形の製造初年は1974年3月25日で いずれも1101Fより若手?の車両です。 不惑の年を迎えた現役最古参の1101F3連。 2008年11月の開通80周年イベントでは、特製の大型ヘッドマークを取り付けて運行されました。 |
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10.下記に示すのは、3000系車両に使用されている主制御器の名称です。 夫々@〜Bの記号が示す記号の意味をお答え下さい。 |
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【正解】@制御装置のシステム名称 A制御装置の容量 B主制御器の構造 神戸電鉄の車両は開業時から電装品に一貫して三菱電機製を使用しています。 三菱電機製の抵抗制御用主制御器は俗に「ABF型」と呼ばれるもので、米国ウェスチングハウス社と 技術交流を持った電機メーカーの総括式制御装置のシステム名称です。 制御装置の名称とブロック構成は独特で、次のような構成となっています。 デ1100形に採用されている主制御器は、1C4M(一台の制御器で4台のモータを制御する)の ABF-144-15MDH形。 「架線電圧1500V、MG(電動発電機)電源で140馬力のモータ4個を自動加速制御する、弱め界磁 制御・発電制動付電動カム軸型制御装置」という事が名称より分かります。 @第一ブロック→制御装置のシステム名称(2〜4文字のアルファベットで構成) 第1字は加速方式を示します。 A→自動加速(Automatic operation) H→手動加速(Hand operation) 第2字は制御回路電源を示します。 B→電動発電機または蓄電池(Battery source) L→架線電圧を抵抗器で分圧(Line source) 第3・4字は特殊仕様を示します。 F→弱め界磁制御(with Field tapper) M→多段制御方式(Multi tapper) A第二ブロック→制御装置の容量(2〜3桁の数字で構成) 1・2位の数字は主電動機の馬力を示します(10→100PS) 3位の数字は制御する主電動機の個数を示します。 B第三ブロック→主制御器の構造(1〜2桁の数字と1〜5文字のアルファベットで構成) 数字×100は電車線の電圧を示します。 英字第1字は主制御器の動作方法を示します。 A→電空カム軸式(Air drive) M→電動カム軸式(Motor drive) E→電磁単位スイッチ先(Electric interlock) 英字第2字は電気制動方式を示します。 D→発電制動付(Dynamic brake) R→回生制動付(Regeneration brake) 英字第3字は高速度遮断器付(High speed circuit breaker)を示します。 英字第4字は設計順位を示します。 (無印からアルファベット順に使用します) 以上のようにABF型の制御装置は万国共通のブロック・名称構成となっていますので、これを覚えて おくと、ABF型車両の性能が一目で分かるようになります。 HB間接非自動制御のデヤ750形。 文字通り、力行時や電制時には運転士さんが一段ずつノッチを進段しながら速度を調整していく、 いわば「マニュアル」の制御方法です。 回生制動付のABF-108-15MDRHを採用したデ1000形。 回生制動失効時に備えた発電制動も搭載していますので、第三ブロックにM・D 両方の文字があります。 直列17段・並列8段・弱め界磁4段で計29段の多段制御を採用した3000系。 下り勾配における定速度抑速制御を採用したのも特筆される点です。 |
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今回の「神鉄検定」のテーマは「知ってて楽しい豆知識」。
少し難しかったかもしれませんが、今度出かける時に少し違った目で
坂道に挑む電車や沿線風景をお楽しみ頂ければ幸いです。
次回もどうぞお楽しみに!
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