−1994年6月− 鈴蘭台〜新開地間 サンマルのショートトリップを再現!








 座り心地の良いやや低めの座席と、広々とした二枚窓。
 ゆったりとした「特等席」が、貴方をお待ちしています。




  
  いよいよ5000系のデビュー間近となった1994年6月。残り2編成となったサンマルにも、引退の時が間近に迫っていました。
  所要で鈴蘭台へ出かけていたとある日の夕方、帰り道で偶然鈴蘭台始発の304F4連に出会いました。
  僅か15分足らずのショートトリップでしたが、当時の活躍ぶりを懐かしい沿線風景も交え、乗車記として再現してみましょう。
  当日の乗車列車は、鈴蘭台17:39発の新開地行普通(542レ)です。


       

        初夏の陽気となった6月某日の夕方、車庫を出庫した304F(304-313-314-303)が鈴蘭台駅の1番線へ入線してきました。
        神鉄では車庫〜鈴蘭台駅間の回送や構内運転は操車係の方が担当し、本線を担当する運転士の方へハンドルを
        引継ぎします。


       

        発車前の鈴蘭台駅で偶然、2000系・3000系と肩を並べた304F。三世代の移り変わりが良く分かりますね。


       

        西日が少し顔に射して、ちょっと眩しげな304。あともう少しで鈴蘭台発車です。

        余談ですが、当時の菊水山停車列車は新開地〜鈴蘭台(叉は西鈴蘭台)間運転の普通列車のみ。
        列車種別は「普通列車」ですが、乗務員携行用の時刻表(スタフ)では「各駅停車」として区別されて
        いたのも特筆されるところです。

        さて、定刻17時39分に鈴蘭台を発車。
        鈴蘭台から新開地までは下る一方の連続片勾配に加え、50パーミルの急勾配が連続する同区間。
        駅を出発して加速するとすぐノッチオフ、電制2〜3ノッチで均衡速度50km/h前後を保ちながら山を下ります。
        この間、運転台のマスコンは電制ノッチをほぼ投入したままの状態が続きます。



       

        写真は新線切替間近の菊水山トンネル下り方出口付近。線路敷設も終了し、いつでも電車が通行
        出来る状態まで完成しているのが分かります。
        我が304Fは旧線へそのまま直進、谷筋に沿って急勾配の線路を下って行きます。


     

  (左)逆Sカーブを抜けると列車は谷間の視界が開け、旧線のハイライトである名号岩付近(正面の3000系の上辺り)に差し掛かります。
  (右)菊水山・鵯越に停車し、短い鵯越トンネルを抜けると、眼下に神戸の街並みが広がります。

        停車の際には電制ノッチを3→4→5と進め、十分減速したところで右手のブレーキハンドルを小刻みに
        操作しながら駅に到着します。
        神鉄独特でもあったこの運転方法は5000系の登場に際して変更され、マスコン側の電制ノッチを抑速
        運転時のみの使用として、停車時の常用制動はブレーキ弁ハンドルで作用させる方式に全車改造が
        実施されました。
        現在は駅停車時にはブレーキ弁ハンドルを操作し、同時にマスコンの抑速制動ノッチを解除する様子が
        見られます。


       

        遥か彼方に大阪湾を望みながら、軽快に50パーミルを下っていくサンマル。
        今までどれだけ、四季折々のこの風景を眺めながら走ってきた事でしょうか・・・。



       

        定刻に新開地駅1番線に到着した304F。折り返しの発車は18:00発、三田行普通(67レ)。
        
発車までしばしの休息です。
        


     


   もうすぐ登場する5000系にバトンを渡し、静かに姿を消していくサンマル。あともう少し、最後の活躍が続きます。
   営業中のサンマルに実際に乗車したのは、この日がラストとなりました


  (1994.06.05 撮影 2007.08.18 記)

                                                                            
 

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