7-7.デト1001形

     
1001(1両) 昭和4年8月製造 昭和37年5月更新(800系)
               


      

      
沿線の貨物輸送用として活躍したデト1001形。形こそ現在の電動貨車デヤ750形に似ていますが、
       純然たる「貨物輸送」用として活躍しました。有馬寄に小さな荷物室を備えています。
                         (撮影:亀井一男様 写真所蔵及びご提供:藤井信夫様)



      
昭和3年の神戸有馬電気鉄道開業後、沿線の貨物輸送用として新製された無蓋電動貨車です。
       外観は同年5月より新製開始のデ101形の真ん中をごっそり取って、荷台とした様なスタイルですが、
       台車はデ1・デニ11形と同様の板台枠台車、日車B-16を使用しているのも特徴です。

       デト1001形については詳しい資料があまり残されていないのですが、数少ないデータを探して
       見ると、市内の卸売市場で仕入れられた生鮮食料品等を沿線の街へ輸送する為に活躍していた様子が
       伺えます。今ではこういった列車は、近鉄大阪線に残る鮮魚列車ぐらいでしょうか。
       当時はまだ道路網が整備されていなかったでしょうから、地元の人々に毎日魚や野菜・果物を運んで
       くれるこの電車は、貴重な存在だったのでしょうね。

       当時の様子を伝えてくれる興味深い記事がありましたので、ここでちょっとご紹介したいと思います。
       (出典:鉄道模型趣味No.63 1953年11月号より「電車を訪ねて 神戸電鉄」亀井一男・岡本圭弘)
       ・・・
       ・デト1001形(No.1001)
       堂々たる容姿の無蓋電動貨車で、沿線の魚屋八百屋の仕入定期便車となっている。
       青物、トロ箱を山積した上へ、ネジ鉢巻にゴム長をはき、手カギを持ったオッサン連が十数人乗込み、
       仕入値の高安を論じているのは面白い風景である。この車の台車も板枠台車。    ・・・(以下略)

       ほら、デトの荷台の上から、威勢のいいオッサン達の声が聞こえてきませんか?


       

       昭和37年5月に更新改造され、デ800形802に生まれ変わったデト1001の姿。800系の中でも
       一番最後まで活躍を続け、93年3月に廃車となりました。
                                       (写真ご提供:松本崇様)


       木造車体で貨車という用途も要因してか老朽化が著しく、戦後すぐの昭和22年に大修理を施し、
       さらに昭和27年には貨車牽引に対応する為空気ブレーキを改造、SME-DMに改造しています。
       その後は沿線の道路網整備による貨物輸送激減の影響もあったと思われ(昭和38年には国鉄からの
       貨車直通も廃止)、約33年間貨物電車として働いてきたデト1001形は、デ800形802として更新
       され、電動客車として第二の人生を歩む事となりました。

       その後、800系の中でも807Fと共に最後まで活躍を続け、93年3月に廃車されて姿を消したのは
       ご存知の通りです。




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