8-4.800系(デ800・810・850・860形)
801〜808(8両) 昭和37年5月〜昭和39年9月更新
811・812(2両) 昭和40年11月更新
851・852(2両) 昭和39年12月更新
861〜865(5両) 昭和41年1月〜昭和43年7月更新
(864・865は昭和47年11月サ1200形1212・1213へ再更新)
平成3年3月〜平成5年3月除籍(1212・1213を除く)
写真は851-812-811の3連。撮影当時(昭和57年)、平日朝の7:45鈴蘭台発
三木行は800形のスジ(K3連運用)で毎日待っていれば確実に全編成の写真が撮れました。
旧型車の老朽化に伴い、電気機器等を再使用の上車体を新造した更新車グループです。
デ1・デニ11及びデ101形で使用していた電動機を出力増強、歯車比を変更してデ300形の全界磁と
同性能が出せる様に設計されました。
制御装置は間接非自動のHB総括、力行13段(直列7段・並列6段)電制8段で車で言えばいわゆる
マニュアルで一段ずつマスコンを進段していくタイプです。
ブレーキはSMEを使用の為、連結両数は最大3両に限定されていました。
パンタも種車の大型パンタ、三菱製S-514Xをそのまま使用していましたが、三菱電機のパンタ製造
中止に伴い、1000系列で使用されている東洋電機製のPT-4209に交換されました。
交換されたS-514Xのパンタが並ぶ鈴蘭台車両工場(許可を得て撮影)
デ300形(311〜)のスタイルを範としたデ800形。写真の801は初期更新車で台車は近車シュリーレン
KD-45を使用、方向幕も未設置でした(後に追設)807からは台車は川ア-641に変更されました。
方向幕未設置の時代の802-801 現在の神鉄フェイスとは一風違った印象を受けます。
(写真ご提供:松本崇様)
有馬線で試運転中の803-804。デ800形の偶数車が先頭に立った現在となっては珍しい写真です。
(写真ご提供:坂下孝伸様)
デ800形の両運車、デ850形。
晩年の固定編成5編成中、全て片開扉で統一された編成は852-808-807の一編成のみでした。
又、旧塗装で残った最後の編成でもありました。
デ1000形を範として更新されたデ810形。811-812の2両一編成のみの存在でした。
デ810形の両運車、デ860形。当初5両が製造され、最終更新車の865はデ1050形と同様の片側
運転台(神戸寄)で有馬寄運転台は簡易運転台という特異な存在でした(奇数車は有馬寄の原則からも
一両だけ変わった存在となりました)
865を先頭にした新開地行3連。後方はデ800形2連です。数少ない865のカラーの姿に加え、鵯越駅の
旧駅時代という貴重な写真です。
(写真ご提供:RRE様)
高性能車と違い、一段ずつマスコンを進段しながら加速、減速時には電制とSMEを巧みに操りながら
停車する運転方法は見ていて非常に興味深いものでした。又、連結器は自動連結器を使用していた為、
鵯越の下り坂カーブ付近では「ドーン!」と大きな音を立てるのも又ご愛嬌?
見た目も中身も「古くさい」電車でしたが、高校時代の若かりし?頃、車内の暑い空気を扇風機で
かき混ぜながらも、部活で疲れて車内でクタクタになって寝ている我々を乗せて走っていった記憶・・・
青春時代の一ページでした。
デ850形852の運転台。マスコンは高性能車よりやや大ぶり、対してブレーキはSMEの為小型です。
更新時期によりメーター配置が異なり、3種類の運転台スタイルが有りました。
852の車内。見付はデ300形311〜とほとんど同一仕様となっています。
800系に使用される主抵抗器。グリッドアイアンと呼ばれる高炭素含有の鋳鉄で作られており、
デ1000形や初期のデ1050形も同様の形をしています。
800系に使用される釣掛モータのMB-146-A。後方の棚に鎮座する高性能車のモータと比較すると
その大きさは歴然としています。ダイナミックに積まれている様子は車両工場ならでは?
(上記2点:鈴蘭台車両工場にて 許可を得て撮影)
800系については輸送力強化より3連固定化を実施、神戸寄に両運車を連結し、固定3連化が実施され、
後に両運車の有馬寄と対するデ800・810形偶数車の神戸寄運転台を撤去、立席スペースとなりました。
※固定化実施後の編成
(←神戸)
861-802-801 862-804-803 863-805-806 852-808-807 851-812-811
(新塗装) (車体裾帯) (全車片開扉)
平成5年3月除籍 平成3年3月除籍 平成4年10月除籍 平成5年3月除籍 平成3年3月除籍
余った864・865は当時増備中であった1100系の中間付随車サ1200形1212・1213に再改造されました。
※更新後の他のサ1200形との相違点
@電動機点検蓋(トラップドア)の残置(但し開かない様に固定)
A台車が前身の川ア-641を電装解除し使用(車輪径が910mmと高性能車比50mm大きく、軸距も
200mm長い)
B座席のケコミ板形状が異なる
C運転台撤去跡(当該部分を切り取り、中間車断面を接合)は金具で容易に判別可
高性能車と共に長らく活躍してきましたが、老朽化に加えて性能が劣る事から運用面での制約も多く
(800系専用の運用・・・K3連運用を組成。高性能車で運転の際は3ノッチスイッチをカットし、足並みを
合わせていました)平成3年3月に3連2編成が1500形の新造に伴い廃車、平成4年10月には2000系の
増備に伴って3連1編成が廃車されました。
残った2編成も、翌年(平成5年)3月21日の「800系さよなら運転」を最後に現役を引退、神戸電鉄の
本線上から現役営業用車のツリカケ駆動車は姿を消しました。
平成5年3月21日に実施された800系さよなら運転。
(上)久しぶりに入線した鈴蘭台以北の有馬線。谷上にて
(下)新開地へ向かって駆けていくのも本日が最後。鵯越にて
残党のサ1200形1212・1213も1100系の4連化に伴い、1213は平成12年7月に廃車。
さらに、05年9月の1121F4連化に伴って1124Fが編成解除され、只一両となった最後の800系
1212も保留車となりました。
同車は1123とともに長らく鈴蘭台車庫の片隅に留置されていましたが、08年3月の6000系新造に伴い
翌月08年4月に除籍され、1123・1060と共に見津車庫にて解体されました。
08年4月、見津車庫で解体待ちの3両(左から1212・1123・1060の順)
既に車籍は抹消され、一部機器や窓枠等も取り外された状態で留置されていました。
1212・1213の外見は他の高性能車と同等ながら、書類上の車籍は旧型車からの更新扱の為、製造年月が
「1929年 日本車両製」となっていたのは、意外に知られていません。
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(08.09.07 1212廃車に伴う一部内容更新)
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