1-3.デ1350形(1300系)


1351〜1362 計12両
1979 (昭和54) 年7月〜1987(昭和62) 年4月製造




1000系列の新造車両としては、初の冷房付で登場したデ1350形。第一編成の1351Fは、
中間電動車のデ1320形2両を組み込み、3扉固定4連の整った組成美を誇っていました。



【概要】

昭和50年代に入ると各社とも車両の冷房化の要望が強くなり、平地に比べて標高の高い神戸電鉄でも
冷房車の導入が課題となりつつありました。こうした中、1979年増備の1000系列車両はデ1300形を
ペースに3扉・冷房化したタイプとなり、新たに竣工したのがMM’ユニット方式のデ1350形です。
同年7月に1351・1352号車の2両がお目見えしました。

走行性能はデ1300形を範としながら、車体は2年前に登場したデ1150形に準じて3扉化されました。
又、偶数車のパンタグラフもデ1150形同様、他車との連結時にパンタグラフ接近による架線押上げを
回避する為、連結面寄りに設置されています。

車内見付もデ1150形とほぼ同様ながら貫通路は狭幅となり、車内は1000系列初の木目デコラを採用、
落ち着いた雰囲気となりました。冷房装置は従来の3000系と異なり、10,500kcal/hのCU-193Kを
各車に3台装備、車内中央部のダクトより室内に冷風を送る仕組みです。
補助電源装置 (MG) は3両分の給電可能な大容量 (75kvA) のものを設置しています。

これらの実績を基に、1985年03月には1000系列初の試行となるデ1070形1076号車への冷房改造を
実施、その後の本格的な1000系列車両の冷房改造工事へとへ移行する事となります。

1351-1352は当初、他の非冷房車と混結運用されていましたが、同年9月にデ1320形1325・1326が
当初より冷房装備で竣工、ほどなく固定4両編成の整った編成美を披露する事となります。




登場間もない頃の第一編成、1351F (1351-1326-1325-1352)。
中間電動車のデ1320形も、デ1350形に併せて内装は木目デコラ・狭幅貫通路となっています。


1982年10月には第2編成の1353F (1353-1354+1355-1356) が登場しますが、同編成から乗務員室の
後部戸袋部分に神戸電鉄のイニシャル「K」をデザインしたシンボルマーク、通称「K」マークを初めて設置。
又、塗装は当時の標準色に車体裾帯をまとった姿にマイナーチェンジ、このデザインが他の在籍車にも順次施工
されます。1354・1355号車の相互間は密着自動連結器で結ばれ、運転台付貫通4連で運用されていました。

余談ですが、それまで神戸電鉄の新造車両は、国鉄福知山線経由で三田から搬入されていましたが、三田駅の
三田駅の貨物取扱廃止に伴い、1353Fから現在のトレーラーによる陸送方式に変更されています。




MM'ユニット×2編成で、全車運転台付の4連を組成して登場した1353F (1353-1354+1355-1356)。
裾帯入り塗装に加え、乗務員室後方の戸袋部分に「K」マークを設置したのも、同編成からです。




1308号車と並んだ1356号車。デ1300形と同系列ながら、時流に併せたマイナーチェンジが感じられます。
細かな点では、前面の標識掛けが本編成より省略された為、すっきりとした印象を受けます。


1984年9月には、第三編成として1357F (1357-1358+1359-1360) の4両が増備されました。同編成は
製造当初より有馬寄にデ1070形を連結の上、粟生線志染駅における増結・解放運用に充当する計画があった為
1358号車と1359号車の間は、新造時から連解仕様で登場しました。冷房装置は同出力ながら省エネタイプの
CU-193Rに変更されています。


 

市場駅で搬入作業中の1359号車。当時は現在のような搬入基地がまだなく、終電〜始発までの合間を縫った作業で
一日一両ずつの搬入を行っていました。当時の様子はこちらから。


 

竣工後間もない1358-1357+1076の3連。有馬寄に連結された1076号車は、まだ非冷房の頃です。
1358号車と1359号車は当初より連解仕様となり、1076号車ともに5連運用に従事していました。




1987年4月には、最終増備の1361F (1361-1362) が相棒の1153Fと5連を組成して登場しました。
当初より新塗装で登場し、1361号車の連結器は当初密着自動連結器でしたが、後に連解仕様に改造され
志染駅での増結・解放運用に充当されました。CPは大容量のC-1000にパワーアップされています。



【改造】


(1) 粟生線5連運用の冷房化促進と、4連直通化に伴う編成の組み替え

前述の通り、MM'ユニット×2連で運転台付4連を組成していた1353Fは、1991年6〜8月に;冷房化された
デ1320形1321〜1324号車を各2両ずつ中間電動車として組み込み、1351Fと同様の固定4連×2編成に
組み替えられました。この際に車体側面の種別・行先表示幕も併せて設置されています。

その後、粟生線志染駅での増結・解放運用 (連解5連運用) における増結車の冷房化を推進する為、デ1320形の
先頭車化改造 (1370形へ改造) を実施する事となり、中間電動車のデ1320形を抜いて再び2連×2本に戻し、
1996〜1997年に1353・1355号車を連改仕様に改造、粟生線5連運用の冷房化促進に寄与しています。




中間にデ1320形1321-1322を組み込み、固定4連で活躍中の1353F (1353-1322-1321-1354)。
デ1320形とともに、車体側面に種別・行先表示幕が新設されています。




1321・1322号車を抜いて2連化され、1100系と5連運用に就く1353F (1353-1354)。
1353号車は連解仕様に改造され、志染駅での増結・解放運用に対応可能となっていました。


  

1353Fと同様に2連化・連解仕様となり、粟生線の5連運用に就く1355F (1355-1356) 。
2000年6月には連解装置を撤去、暫くの間は他編成と4連を組成していました。


一方、固定4連の編成美を保っていた第一編成の1351Fも、1997年4月に中間電動車のデ1320形
1325・1326号車を抜いて2連に戻り、1351号車に連解装置を設置して増結車仕様となります。
その後、2001年8月には、同時期に冷改されたデ1070形1074号車を有馬寄に連結の上、3連を
組成する事となりました。1351号車の連解装置は、この際に撤去の上、半永久密着連結器へ変更。
車体側面への種別・行先表示幕設置も、相棒の1074号車と併せて行われています。






1997年4月に中間電動車の1325・1326号車を抜いて2連化の上、連解仕様となった1351号車。
(1351-1352) まだ車体側面の種別・行先表示幕は設置されていません。




冷房化されたデ1070形1074号車と、固定3連を組んだ1351F (1074-1351-1352)。
車体塗装がリニューアルされた、1074号車との混色状態が興味深いですね。


有馬寄にデ1070形1076号車を連結し、長らく連解5連運用に従事していた1357Fは、2001年6月改正の
粟生線4連直通化に備え、2000年6月に1076号車を解放 (→1153Fと4連化) の上、中間の連解装置を残置
したまま、暫定的に非貫通の姿で4連運用に就いていました。




1076号車を編成解除、1357号車が有馬寄の先頭となった1357F (1357-1358+1359-1360)。
1358・1359号車間の連解装置は残されたまま、暫定的に非貫通4連の姿で運用されていた頃です。


デビュー時に1153Fと5連を組成していた最終編成の1361Fは、後に連改仕様のまま、他編成との混結運用を
行っていましたが、2002年03月には冷改施工されたデ1300形1309Fを神戸寄に連結、2扉2連+3扉2連の
変則4連で運用される事となりました。この時点では1361号車の連解装置は、まだ撤去されていません。




2002年5月、冷改された1309Fを神戸寄に連結し、4連で活躍する1361F(1361-1362+1309+1310)。
前年のダイヤ改正で志染駅の増結・解放運用は廃止されましたが、1361号車の連解装置は残ったままでした。



(2) ワンマン化改造施工

2005年6月の全線ワンマン化実施を前に、他形式同様に順次ワンマン化改造が実施されました。




  

2001年8月に冷改された1074号車と固定3連を組成していた1351Fは、デ1350形の先陣を切って
翌年の2002年2月、1074号車とともにワンマン化改造が施工されました。乗務員室部分が相対する
1074号車と1351号車の間に設置された、大型の転落防止ホロが目立ちます。




1074号車は2003年10月、ワンマン化された1111Fと4連を組成。これに伴い、1351Fは同年8月に
ワンマン化された1370形1371Fと新たに固定4連を組んでいましたが、2015年03月には1371Fを
編成解除の上1361Fと固定4連を新たに組成、4連運用に就いています。


(1351Fの変遷)

【登場時】

 車両番号 摘要 
1351-1352  1979.07 竣工
1351-1326-1325-1352  1979.10 1325・1326号車を組み込み4連化


【連解装置設置〜固定3連化】

 車両番号 摘要 
1351-1352  1997.04 1351号車連解仕様に改造
 (→▲1375-1376)  (1325・1326号車を先頭車化、1370形に改造)
1074-1351-1352  2001.08 連解装置撤去、1074号車と固定3連化


【ワンマン化〜固定4連化】

 車両番号 摘要 
1074-1351-1352 2002.02 ワンマン化
1371-1372-1351-1352 2003.08 ワンマン化された1371Fと固定4連化
(→1074-1111-1206-1112) (固定4連・ワンマン化)
1361-1362-1351-1352  2015.03 1371Fを編成解除、1361Fと4連を組成







1353Fと1355Fは2004年5月にワンマン化を実施。同時に1353号車の連解装置も撤去、デビュー当時と
同様の編成に戻って固定4連を組成する事となりました。又、2008年8月には、乗降用扉のステップ部分を
1000系列では初めて他形式同様のステンレス製に更新、ステップ部分の腐食防止を図っています。


(1353Fの変遷)

【登場時】

 車両番号 摘要 
1353-1354+1355-1356 1982.10 竣工


【固定4連×2編成化】

 車両番号 摘要 
1353-1322-1321-1354 1991.06 1321・1322号車を冷房化の上組み込み
(→1307-1308) (1321・1322号車を抜いて2連化)
1355-1324-1323-1356 1991.08 1323・1324号車を冷房化の上組み込み
 (→1309-1310) (1323・1324号車を抜いて2連化)


【連解装置設置〜増結2連化】

 車両番号 摘要 
1353-1354 1996.10 1353号車を連解仕様に改造
(→▲1371-1372) (1321・1322号車を先頭車化、1370形に改造)
1355-1356 1996.06 1355号車連解仕様に改造
(→▲1373-1374) (1323・1324号車を先頭車化、1370形に改造)
1355-1356 2000.06 連解装置撤去


【固定4連〜ワンマン化】

 車両番号 摘要 
1353-1354-1355-1356 2004.06 固定4連・ワンマン化







1357Fは2004年03月にワンマン化を実施し、同時に1358号車と1359号車間の連解装置も撤去の上
貫通化、1353Fとほぼ同様の編成となりました。

同編成は2006年03月の新塗装マイナーチェンジの際、1357・1358号車のみ乗降用扉赤一色+扉上部の
出っ張った塗装のない(戸閉センサーのみ塗装)タイプとなって異色を放っていましたが、2008年09月には
他編成と同様のツートンカラーに統一されました。




2017年01月には1000系列としては初めて、前面の種別・行先表示幕が英文併記され、イメージを一新。
外国人のお客さまへのインバウンド対応と思われますが、今後他編成への波及が注目されるところてす。


(1357Fの変遷)

【登場時】

 車両番号 摘要 
1357-13581359-1360 1984.09 竣工
1076+1357-13581359-1360 1984.09 1076号車を有馬寄に連結、5連運用に従事
1076-1357-13581359-1360 1985.02 1076号車を冷房化、1357-1358と固定3連化


【編成替〜固定4連・ワンマン化】

 車両番号 摘要 
1357-13581359-1360 2000.06 1076号車を編成解除
(→1076-1153-1252-1154) (1076号車+1153Fを固定4連化)
1357-1358-1359-1360 2004.03 連解装置撤去、固定4連・ワンマン化





1361Fは前述の通り、冷房化された1309Fと4連を組成後、2004年10月にワンマン化の上固定4連化。
2扉車のデ1300形と3扉車のデ1350形がコンビを組む、異色編成として活躍していました。




長らく1310Fと4連を組成していた1361Fですが、2015年03月には1310Fを編成解除の上、1351Fと
オール3扉4連で運用に就いています。編成解除された1309・1310号車は、同年3月末に除籍されました。


(1361Fの変遷)

【登場時】

 車両番号 摘要 
1153-1252-1154+1361-1362 1987.04 竣工
1153-1252-1154▲1361-1362 1992.11 1154・1361号車を連解仕様に改造


【編成替〜固定4連・ワンマン化】
 車両番号 摘要 
1361-1362+1309-1310 2002.03 冷房化された1309Fと4連を組成
(→1076-1153-1252-1154) (1076号車+1153Fを固定4連化)
1361-1362-1309-1310 2004.10 連解装置撤去、固定4連・ワンマン化
1361-1362-1351-1352 2015.03 1310Fを編成解除、1351Fと4連を組成



【メモリアルトレイン デビュー!】


1357F、オレンジ&シルバーグレーの旧塗装を復刻

2018年11月28日で鉄道開業90周年を迎える、神戸電鉄の記念事業の一環として、昭和の車体カラーを
復刻した「メモリアルトレイン」が登場することとなり、1960〜90年代のオレンジ&シルバーグレーを
再現した第二弾として、1357Fが懐かしの旧塗装に復刻されました。

同編成は1984年の登場時は裾帯付きでしたが、復刻カラーは裾帯なしとした上で、前面に標識掛けを追設
同年7月22日に道場南口の留置施設で開催された「ミニフェスタ」にて、1960年台の旧型車に施工された
スプリンググリーン&シルバーグレーの1151Fと並べてお披露目され、華々しくデビューを果たしました。




7月22日のミニフェスタ会場へ、回送途上の1357F。1151Fと同様、助士席にはしんちゃんが乗務。




道場南口留置施設でのミニフェスタにて、先輩メモトレ「みどり電車」1151Fと並んだ1357F。




ミニフェスタの会場からは、事前募集制の特別列車として道場南口〜ウッディタウン中央間を往復。
公園都市線の走行は、同編成としては初めての事でした。




翌7月23日からは通常の4連運用に投入。夕方には早速、花形運用の下り粟生線快速運用に。


懐かしの昭和カラーを纏い、1151Fと並んで一躍注目の的となった、メモトレオレンジの1357F。
沿線での評判も上々のようで、今後の末永い活躍を期待したいものです。



(編成表) 2015.03.31 現在
←有馬 車両番号 神戸→
(4連運用)
1361-1362-1351-1352
1353-1354-1355-1356
1357-1358-1359-1360




(2015.03.07 最新動向を反映の上更新)
(2015.04.10 1351F・1361Fの動向を反映の上更新)
(2015.05.10 1361Fの変遷を一部加筆)
(2017.01.29 1357Fの変遷を一部加筆)
(2019.01.25 メモリアルトレイン(1357F)の項を加筆)




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