デ1100・サ1200形(1100系)


1103〜1110・1113〜1116・1119〜1122 計16両
1202〜1205・1207〜1208・1210・1211 計8両

1969年8月〜1972年11月製造




デ1100・サ1200形のトップナンバー1101F、ありし日の姿。5000系登場までは神鉄一の最多両数を誇りました。
1101F〜1109Fには冷房化工事の際、側面方向幕の設置や前面方向幕の電動化のほか、車内の貫通路狭幅化が実施されています。


【概要】

昭和40年代からの乗客数増加に伴い、従来基本2連+増結1両で対応していた3連単位での車両増強が必要になった為、1969年8月に
登場しました。当時の輸送力増強に対応する為短期間の間に集中的に増備されたのが特徴で、4年間の間に13編成39両が一気に製造、
1994年から1998年まで増備された5000系の登場までは、神鉄での最多両数を誇っていました。

基本スタイルはデ1000形を範としていますが、神鉄では初の中間付随車サ1200形を挟んだ2M1Tとなっており、電動車のデ1100形は
中間T車を挟むことから出力を既存の1000系列より1.5倍とした105kwとし、制御方式は電気的に単独とした1C4Mとしています。
尚、CP及びMG(後に冷房化の際SIVに交換)はサ1200形に分散配置され、デ1100形のみの単独走行はできません。








デ1100系 1117の制御装置
(ABF-144-15MDH)
 一台の制御装置で4台の電動機を制御します。






ラスト2編成の1123F・1125Fの中間付随車サ1200形1212・1213は、更新車の800形(デ860形864・865)からの
改造車で、電動車時代の名残である電動機点検蓋や台車(川崎641形)等に前身の面影を残していました。




デ860形865からの再改造車1213。一見すると新造車同様で、他車との違いは殆ど分かりません。


   

1212号車の神戸寄を車内から見る。乗務員室撤去〜中間車妻面の接合部分にステンレスの治具が貼られて
いる(矢印部分)ほか、800系時代の名残を残す電動機点検蓋(トラップドア)も残されていました。


 

1117号車の川崎681形台車(左)と、800系の台車を電装解除の上流用した、1212号車の川崎641形台車(右)。
車輪径が他の1100系より50mm大きい910mmで、軸距も200mm長い2300mmとなっています。


→デ860形864・865号車からサ1200形1212・1213号車への改造内容はこちらへ


1108F〜1125Fの10編成には、粟生線におけるデ1070形等との連解運用に対応する為、自動連結開放装置(連解装置)を設置。
1986年からは冷改工事も順次施工され、同時に補助電源のMG〜SIV化も実施されました。



鈴蘭台で並んだ非冷房時代の1100系2編成。1981年4月の撮影で、写真左が1110F、写真右が連解装置設置の1122Fです。



【改造・廃車】

(1)粟生線4連直通化に伴う、一部編成の4連化改造

2001年6月の粟生線4連直通化に際しては4連運用の不足を補う為、1115F・1119Fの2編成に対し、他編成の制御電動車を
中間電動車化として各一両組込の上、2M1Tの3連を3M1Tの4連へ改造する工事が実施されました。

工事内容は1125Fを編成解除の上、制御電動車の1125・1126を中間電動車化して、1115F・1119Fに各々組み込み、
両編成の神戸寄連解装置を撤去して4連永久固定編成化しました。この際、T車の補助電源一台で4両分の冷房用電源を確保する
必要がある為、SIVはバックアップ機能付の大容量型(100kVA×2群)に換装、併せてCPの増設工事を実施しました。
又、
1119Fには初の転落防止ホロ設置のほか、旧先頭車と連結する1115と1120の連結部分は貫通路の狭幅化を実施
(1100mm→700mmへ)。結果、余剰となったサ1200形1213は2000年7月、冷房車として初の廃車となりました。





烏原トンネルを抜ける1115F(1115-1125-1208-1116)。中間電動車化された1125のパンタは撤去されたほか、
1125と接する1115の貫通路は狭幅化されています。(1119Fの中間車1126も同様の工事が施工されています)
その後暫くワンマン化は実施されず、神戸寄1116にデ1050形1060を連結、5連運用に充当されていました。





2007年5月に客用扉ツートン化の上、先頭貫通路の幌枠を撤去した1115F。まだツーマン編成で、側面の種別・行先表示幕も未設置です。




2000年12月に中間電動車化した1126を組み込み、4連化された1119F(1119-1210-1126-1120)。
2005年からは有馬寄にデ1070形1071を連結して5連運用に従事していましたが、2009年3月20日のダイヤ改正にて
1071を解放、同年10月にワンマン改造工事が施工されました。



 

神戸電鉄における転落防止ホロの設置は、4連化された1119Fで初登場。
形状はいわゆる阪急タイプに近いもので、他編成に施工の南海タイプのものとは異なるものでした。
2009年10月のワンマン化改造時、後述の通り他編成と同様のタイプに統一されました。






有馬寄に1071号車を連結して単車+4連の変則5連となった1119F。有馬線で5連試運転中の珍しい風景です。




1100系4連化工事の第3編成として、2005年には1123Fを編成解除の上1121Fの4連化工事を実施していますが、
この時にはワンマン化工事も同時に実施されています。残った1123と1212は休車状態が長らく続いていましたが、
2008年3月の6000系新造に伴って翌月4月に除籍となり、同月見津車庫にて解体されました。


2)ワンマン化改造

ワンマン化改造工事は1000系列車両のトップを切って、有馬線末端部運転用の1101Fを皮切りに順次施工が開始されました。
2003年からはデ1070形との固定編成化工事と併せ、4連の1112F・1114Fにもワンマン化が実施されましたが、この際には
他形式の4連改造車と同様、戸閉時の障害物検知サポートの為、客用扉上部に戸閉センサが追設されています。
.



ワンマン改造された1105Fと、連解装置設置ながらツーマン・幌枠付・側面方向幕なしと、オリジナルの姿を伝える1117F。




1101F〜1109Fの5編成は3連のままでワンマン改造が施工されましたが、1107F・1109Fの2編成はワンマン改造後も
5連運用におけるツーマン編成との混結に備え、連解装置が残置されたままで運用されていました。ワンマン改造後の編成は
原則的にツーマン車との混結は不可でしたが、1107F・1109Fの2編成については運用上やむを得ない場合、連解装置の
配線回路変更によって、ツーマン編成との混結が可能となっていました。
この場合、異常時の制御回路遮断器(CCOS)遠隔開放は使用できず、手動対応となります。




2006年11月には1071Fの検査入場に伴って1109Fと1062Fとのワンマン+ツーマン混結編成が登場。
その後も数回同様の編成が見られ、注目を集めました。




2003年10月、デ1070形1074との固定4連化と併せてワンマン改造が施工された1112F。翌2004年8月には
1114Fにも同様に、デ1070形1075との固定4連・ワンマン化改造が施工されています。




2009年3月のダイヤ改正後、1071を編成解除してツーマン4連で残っていた1119Fにも、同年10月に1115Fと同様の
ワンマン改造が施工されました。特徴のあった同編成の転落防止ホロも、他編成同様の段違い式に統一されています。




神戸寄に連結していた1060の編成解除後、唯一のツーマン4連として運用されていた1115Fも、2009年2月にワンマン化。
乗降用扉ステップ部分は腐食防止対策からステンレス化、ドアチャイムの音色が6000系と同一のものに変更されています。



【4連化・ワンマン化改造工事の推移】

    (編成)       (4連化改造)       (ワンマン改造)

1101-1201-1102        −           2001年06月
1103-1202-1104        −           2001年08月
1105-1203-1106        −           2001年10月
1107-1204-1108        −           2002年02月
1109-1205-1110        −           2004年11月
 1074+1111-1206-1112  2003年10月(1074と)  4連化と同時実施
 1075+1112-1207-1114  2004年08月(1075と)  4連化と同時実施
1115-1125-1208-1116  2000年10月        2009年02月
1119-1210-1126-1120  2000年12月        2009年10月
 1121-1211-1124-1122  2005年09月        4連化と同時実施


唯一ツーマン使用として残っていた1117Fは、2009年3月の5連運用廃止によって活躍の場を失い、ほどなく休車となります。
休車後は長らく見津車庫で留置されていましたが、2011年3月には除籍され、編成単位で初の廃車となりました。






有馬寄の先頭車1117号車は小野市の精密機器製造会社、株式会社カコテクノスに譲渡。神戸電鉄初の静態保存車両となりました。
2013年11月には補修工事と併せて懐かしの旧塗装に復元され (写真下)、美しい姿を保っています。

2011年5月〜8月 1117号車静態保存の様子はこちらへ!
2013年11月  1117号車旧塗装復活の様子はこちらへ!
(「今月の一枚」へリンクします)



(3)4連化改造編成、再び3連へ


粟生線の乗客減をはじめとした輸送力調整の一環として、2013年6月には車両運用の一部見直しが実施され、従来の4連運用2本が
3連運用へ変更されました。これに伴い4連運用が余剰となる事から、3M1Tの4連で運行されていた1119F・1121Fの2編成に
ついては中間電動車化された1124・1126を抜き取った上、再び3連へと戻される事となりました。






中間電動車化された1124・1126を抜いて、再度3連化された1119F(上)と1121F(下)。
再3連化に際し、ワンマン改造の際に設置された客用扉上部の戸閉センサはそのまま残され、異彩を放っています。






編成解除された1124・1126号車の2両は、2013年3月に除籍されました。写真上は鈴蘭台車庫に留置中の
1124号車で、1126号車と共に見津車庫へ回送後、2014.年03月に市場車両搬入基地にて解体されました。










2015年02月には、運用形態の見直しによる3連運用の増加により、唯一の2扉4連で残っていた1115Fも
再び3連化され、中間電動車の1125号車が編成解除されました。1125号車は2015年08月に鈴蘭台から
市場の車両搬入基地に回送され、8月8日の終電後に解体業者へ搬出されました。








2016年03月には新造車両6500系のデビューに伴い、1074-1111-1206-1112の4連が3月10日付で除籍。
同月26・27日に、市場の車両搬入基地より搬出、解体業者へ陸送されました。本編成の除籍に伴い、デ1070形と
4連を組成するのは、1075-1113-1207-1114の一編成のみとなり、今後の動向が注目されます。






さらに、2016年05月21日のダイヤ改正に伴う、6501Fの運用開始を待っていたかのように、トップナンバーの
1101Fが運用離脱。長らく鈴蘭台車庫の片隅に留置されていましたが、2月17日には1102・1201号車の2両が
1373Fの牽引で市場へ回送され搬出、翌日未明にトレーラーで解体業者へ陸送されました。


【現況】

神鉄沿線の開発と歩調を併せて増備され、一時期は39両の最多両数を誇っていた同形式も、2017年02月末現在では
24両まで減少。1124〜1126号車を組み込んで4連化された3編成も、再び1100系本来の姿である3連に戻りました。
一方では7編成が現在も3連で活躍、両端前パン・固定3連・2扉の整った編成美には根強いファンの方も多いようです。






トップナンバーであった1101Fは、周年行事の際、記念ヘッドマーク装着の栄に度々恵まれました。
写真上は1988年11月の開業60周年記念、写真下は2008年11月の開業80周年記念の晴れ姿です。




 



1101F〜1109Fの5編成には、粟生線活性化の一環として2011年12月より「キャラクターシート」を導入。
粟生線活性化キャラクターの「しんちゃん」「てつくん」、沿線三市のシンボル花がデザインされています。
(神戸市:あじさい、三木市:さつき、小野市:ひまわり、神鉄:すずらん)

又、対象5編成については、運転台後部の戸袋部分に特製のステッカーが貼付されています。




2017年からは他の1000系列車両と同様に、車両正面の行先・種別表示幕の英文字併記化が始まっています。
2018年01月14日現在、1103F・1109Fの2編成が実施済です。


製造両数が多く、改造工事もバラエティーに富み、幾度も姿を変えながら活躍を続けるデ1100・サ1200形。
昭和40年代から現在までの、神鉄の歴史を反映した形式と言えるかもしれません。



(編成表) 2018.01.14 現在

←有馬 車両番号 神戸→
(3連運用)
1103-1202-1104
1105-1203-1106
1107-1204-1108
1109-1205-1110
1115-1208-1116
1119-1210-1120
1121-1211-1122
(4連運用)
1075-1113-1207-1114




(2006.12.09 一部画像および情報追加)
(2008.09.07 1123・1212廃車に伴う一部内容更新)
(2009.07.14 1115Fワンマン化に伴い内容更新)
(2009.11.29 1119Fワンマン化に伴い内容更新)
(2011.08.28 1117号車静態保存に伴い内容更新)
(2014.02.01 最新動向を反映の上更新)
(2015.03.07 最新動向を反映の上更新)
(2015.11.28 最新動向を反映の上更新)
(2016.05.08 最新動向を反映の上更新)
(2017.03.12 最新動向を反映の上更新)
(2018.01.14 最新動向を反映の上更新)




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