デ1050形(1000系)


1051〜1058、1060・1062・1064 (計11両)

1968年09月〜1974年5月製造
1995年10月〜2010年4月除籍




次位に両運転台のデ1070形を従え、ワンマン改造前のデ1350形と非冷房+冷房の変則4連を組成した1064号車


【概要】

1965年に製造を開始したデ1000形(形式消滅)を範とし、
回生制動を省略した片運転台車として製造されました。
ラッシュ時に1000系列2連への増結を行う、いわゆる「増結車」として登場、基本性能はデ1000形と共通ですが
構内運転の必要性からSIV(静止型インバータ)・CPを装備した1M方式となり、乗務員室と反対側の妻面には
簡易運転台(前照灯付)と、扉付の狭幅貫通路が設置されています。新造車両では国内初のSIV装備車です。




鈴蘭台車庫の傍らに、増結車が勢揃い。デ1070形1074と共にお昼寝中の、デ1050形偶数車 。(写真中・右)
簡易運転台が設置された関係で、オデコの前照灯・反射灯・貫通扉が印象的ですね。(1984年8月 鈴蘭台車庫)




トップナンバーの1051号車が鈴蘭台を出発。後方のダイエー旧看板も懐かしい、1984年2月頃の姿で、
2連のデ1000形やデ1300形に増結し、3連を組成する基本的なスタイルです。
同車は1987年2月には1052号車とユニット化が実施されましたが、同形式の中では唯一連解装置が設置
されないまま、震災後の1995年9月に廃車されました。




こちらは片開き扉のデ300形311-312と、3連を組成した1058号車。一見すると800形と見間違いそうですね。
同車は1057号車と共に1996年06月に廃車されましたが、運転台部分をデ1320形1323・1324号車に移植、
現在も1370形1373・1374号車の先頭部分として健在です。




1062号車は1982年12月、三田線二郎駅付近でダンプとの衝突事故に遭遇。復帰時には裾帯入りとなりました。
運用上神戸寄のニーズが高かった事から、最終増備された後期車の1060〜1064号車は、全て神戸寄のみとなり
1059・1061・1063は欠番となっています。


又、最終増備の1060〜1064号車は、前期製造の1051〜1058号車と比し、同時期に製造されたデ1070形に
準じた設計となった為、床下機器や屋根上の電気配線位置にも、若干の差異が生じています。




1058号車とユニットを組み、5連運用の増結車仕様となった1057号車。床下の抵抗器がデ1000形や800系と同様の
グリッド式 (=グリッドアイアン・高炭素含有の鋳鉄) を使用しているのが分かります。     
後期形の1060〜1064号車はリボン式 (=ニクロムリボン) を採用、現行の抵抗制御車は全て同仕様となっています。


【改造・廃車】

1051〜1058号車は、1986〜1987年にかけて固定2連化を実施。神戸寄Mc車の蓄電池と有馬寄Mc車のパンタ・
CPを撤去した為、単独走行は不可となりました。さらに1053〜1058号車の6両は、1993〜1994年にかけて
連解装置を増設、連解5連の増結車仕様となりました。
1060〜1064号車の3両は、1986〜87年にかけてデ1070形1071〜1073号車と固定2連化を実施しています。


【固定編成化・連解装置設置の推移】

 編成  固定編成化  連解装置設置  廃車年月
 1051+1052  1987年02月  ―  1995年09月
 1053+1054  1987年03月  1994年07月  1997年02月
 1055+1056  1986年10月  1994年06月  1997年07月
 1057+1058  1986年10月  1993年07月(※1)  1996年06月
 1071+1060  1986年10月  1071に設置(※2)  2008年04月
 1072+1062  1986年12月  1072に設置  2009年04月
 1073+1064  1987年03月  1073に設置  2010年04月

(※1) デ1320形1323・1324号車の先頭車化改造に伴い、先頭部を提供
(※2) 2005年に編成解除、CP撤去及び蓄電池再搭載


前期製造車は1995〜97年にかけて廃車が始まり、前述の通り1057・1058号車はデ1320形の先頭車化用として
運転台部分を1323・1324号車に提供、1370形1373・1374号車の先頭部に活用されています。

1060号車は、4連化された1100系へ増結用として、2005年01月にCP撤去・蓄電池の搭載工事を実施しました。
同車は1100系と高圧線引通しの上パンタ使用を中止、1115Fと5連運用に従事していましたが、2007年05月の
1115F4連復帰に伴って活躍の場を失い、翌年の2008年04月、1123・1212号車と共に廃車されています。




1071号車の編成解除実施後、1116F4連と1両+4両の変則5連を組成して運用に就く、ありし日の1060号車。
(1060+1116-1208-1125-1115)





1062-1072号車の編成は長らく休車状態が続いていましたが、2006年11月より営業運転に復帰しました。
特筆すべき点はツーマン+ワンマンの混結編成が見られた事で、写真はワンマン編成の1109F3連と5連を
組成しています。(1062-1072+1110-1205-1109)





唯一のツーマン仕様で残った1117Fと、5連運用に就く1064-1073号車。(1064-1073+1118-1209-1117)
1062号車より一足早く、2009年04月に除籍されています。



5連運用の減少によって活躍の場を順次狭められたデ1050形は、2009年3月20日ダイヤ改正の5連運用廃止に伴って
1062・1064号車の2両とも運用休止。ラストナンバーの1064号車は一足早く、2009年04月に廃車となります。

最後まで残った1062号車は、前述のダイヤ改正以降も、他の増結車と共に長らく見津車庫に留置されていましたが、
その後の運用復帰はなく、2010年4月に6003Fのデビューを見届けるかのように除籍、形式消滅となりました。




1071・1072号車と共に、見津車庫で解体作業中の1062号車。少し離れた留置線には、1064-1073号車の姿もありました。
これらの増結用車両の引退によって、神戸電鉄の営業用車両は冷房化率100%を達成しています。







ワンマン化が実施された後も、5連運用はツーマン運転で乗務員が扉扱・車内放送を行っていました。
非冷房のデ1050形は夏場には不向きの存在でしたが、まだ冷房車が希少価値だった私の高校時代を
思い出すような「扇風カー」の車内には、どことなく懐かしさすら感じるような気がします。




【おまけ】1994年11月 菊水山〜鈴蘭台新線区間 開業前の訓練運転風景


1994年12月の菊水山〜鈴蘭台新線切換に先立ち、11月に実施された試運転 (現上り線を使用した乗務員習熟運転) では、
1057−1058号車の2連が充当されました。当時の記録を、ここで少しご紹介したいと思います。










紅葉の美しい菊水山をバックに、試運転を続ける1057−1058号車。
車両は終電後に線路を一時切換の上新線へ搬入、習熟運転は約2週間行われました。


(06.11.11 一部画像及び情報更新)
(08.09.07 1060廃車に伴う内容一部更新)
(09.05.27 運用休止に伴う構成・内容更新)
(09.09.10 1064廃車に伴う内容一部更新)
(10.05.09 1062廃車に伴う内容一部更新)
(15.11.28 一部写真及び記事内容を更新)




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