―家路へ向かって―  すっかり日の暮れた徹明町のメインストリートを走るモ780形。


     −名鉄岐阜市内・揖斐・美濃町線ワンディトリップ その2−


     昨年9月の本欄での予告通り、3月末で全線廃止が決定した名鉄600V区間の再訪を先日果たして参りました。
      今回も前回同様、往路はJR在来線、復路は新幹線という日帰りの強行軍でしたが、今回またしても雨!!
      ただ、これが幸いして廃止前のお祭り騒ぎやマナーを無視した人もおらず、静かに一時を過ごせたのは何よりでした。

      

      岐阜駅前〜新岐阜駅前は平成15年から市の道路工事で運休中。そのまま廃止の運命に・・・
      既に線路はアスファルトの下に埋もれていました。


      

      美濃北方で交換待ちの770形。写真の編成は高橋尚子の姿が目立つ、地元中日新聞の広告電車です

      

      Y字ポイントに小さな踏切・・・何とも言えない光景が心を和ませますが、間もなく見納めとなります。

      

      走れ!「その日」まで・・・。

      黒野到着後、駅前の街をしばし散策。前回昼食をとった喫茶店は閉店中でした。
      商店街は相変わらず閑散として、人通りも殆ど有りません。ふと道の向こうに踏切らしきものが・・・!
      近づいてみるとそれは・・・廃止となった谷汲線の廃線後でした。

      

      あと数日経てば、今日乗ってきた揖斐線や美濃町線も同じような光景となってしまうのでしょうか。
      車両は福井鉄道や豊橋鉄道に譲渡される様ですが、失われた鉄路はもう帰って来る事は有りません・・・。

      

      オールドタイマーモ510形は前回同様昼寝中でしたが、パンタが上がっている姿が気になる・・・。
      後で分かった事ですが、翌日12日は野球教室の臨時列車で走ったそうです。残念!

      

      折り返し待ちの黒野駅にて。


      雨脚はますます強く、おまけに政田駅で旦ノ島付近での乗用車接触事故が有った模様で先行列車抑止発生!
      思わぬアクシデントでしばし立ち往生・・・5分程遅れて、列車は新岐阜を目指します。

      

      忠節で途中下車。雨宿りを兼ねて昼食後、市内線への出口付近で少し撮影。
      駅の改札前には近くの幼稚園の写生が並んでおり、電車待ちの人たちが足を止めていました。

      

      

      かけがえのない足を守る作業。雨の日も風の日も、電車がその歩みを止める瞬間まで、作業は続きます。

      

      新岐阜へ戻り、田神線〜美濃町線へと向かいます。1500V〜600V切替の体験も今日が最後。
      写真はモ880形の運転台。ブレーキ弁右の丸い板は、交換車両に「続行運転有り」を知らせる標識です。
      一旦新関へ通しで乗車。関まで徒歩で移動し、長良川鉄道との顔合わせを撮ってから上芥見へ向かいます。
      美濃町線の中でもローカル色豊かな併用軌道が有るのもこのあたりです。

      

      

      

      貴重なタブレット授受の光景。今ではこの風景が見られるところも、どれくらい残っているでしょうか。



















  下芥見〜上芥見間にて。
  電車が高性能車である以外は、一昔前の
  郊外電車の光景です。

















      薄暗くなった上芥見を後にし、野一色で市内線の単行に乗り換え。徹明町まてはツリカケ音も懐かしい、正統派?
      路面電車の旅です。

      

      徹明町で折り返しの日野橋行。夕方ラッシュ時の車の中を、一人ポツリと発車待ちです。

      一時は外資による引受案も有った様ですが、廃止が秒読み段階となった現在では、4月以降に線路の上を電車が
      走る事はまずないでしょう。
      今回の廃止で岐阜を去る電車達は大半が車齢も若く、当時の名鉄が路面電車復権に賭けていた意気込みが
      感じられます。幸運だったのは、多くの車両が他社で第二の人生を歩む事となった事で、新天地でのこれからの
      活躍を心から祈りたいと思います。


     (2005.3.11 記)
                                                                                                                 −TOPへ−

   

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