2011年7月12日より一般公開を開始した、カコテクノス小野工場の1117号車。神戸電鉄初の静態保存車両です。
                車号の1117をもじって、社内では「(一番)いいな号」と親しまれています。


            − 第二の人生を歩むデ1100形1117号車 −カコテクノスの「いいな」号


                神戸電鉄の1000系列車両では代表的存在のデ1100・サ1200形。
                5000系登場までは神鉄での最多両数(39両)を誇り、現在でも10編成が活躍していますが、近年では4連化に伴う
                余剰車の淘汰も始まっています。
                1117F(1117-1209-1118)は最後までツーマン編成として残り、手動の種別・行先方向幕や前面貫通路の幌枠等、
                1000系列オリジナルの姿を随所に残した編成でしたが、2009年3月ダイヤ改正による5連運用廃止で活躍の場を失い、
                2011年3月31日付で茶坊主デキ・ホッパーとともに除籍となり、同形式としては編成単位で初の廃車となりました


             

           (左)現役当時の1117F。デ1050形+デ1070形の増結車2連を従え、5連運用に従事していました。
           (右)車両のワンマン化が進む中、最後までツーマン編成として運用されていた1117F。車掌さんとのツーショットが似合います。


                

                

                1983年5月、山の街の留置側線で乗務員養成研修中の1117F。奥に鎮座するトム車の姿も懐かしいです。
                癖が少なく運転のし易い1117Fは、電車運転士の国家試験にも供され、神戸電鉄社員の方々にも親しみのあった
                車両だそうです。(カコテクノスのニュースリリースより引用)

                てっきり廃車〜解体されると信じてやまなかった1117号車ですが、某社の社員向教材用として譲渡の上、静態保存
                されると知った時には「驚き」の一言。もちろん、神鉄では初の静態保存車両となります。
                譲渡先は小野市に工場のある、株式会社カコテクノス。車両用の精密機器製造会社です。


                

                1118と1209については残念ながら、茶坊主デキ+ホッパーとほぼ同時期の2011年4月に解体されました。


                

                5月10日、カコテクノスへの陸送を前に、市場車両搬入基地へ回送された1117号車。
                既に陸送用タイヤに履き替え、トレーラーに連結されて深夜の搬出を待っています。。

                

                僚友との出会いも今日が最後。そぼ降る雨の中、新天地への出発を静かに待ち続けます。


                

                

                翌11日には無事搬入作業も完了。社員用駐車場であった土地の一部は綺麗に整地され、35tの巨体が据え付けられた
                様子は、なかなか圧巻です。道行く車のドライバーも、田園地帯に突如現れた神鉄電車の姿にはびっくり!?
                当日の搬入の様子は、神戸新聞等でも報道されました。
                尚、上記写真は全て公道からの撮影で、公開にあたっては株式会社カコテクノスの了承をいただいています。

                静態保存の準備作業はその後着々と進み、7月11日には関係者の方々へのお披露目がありました。
                同社では社員の研修用だけでなく、地域貢献の一環として一般公開も行うとの事で、翌12日からは公式HPからの
                見学予約申込受けもスタートしました。
                先日、1117号車の見学に接する機会を得ましたので、少しだけご紹介させていただきます。


              

           (左)デ1100形のトレードマークであるパンタグラフも誇らしく・・・車両周辺は植栽も施され、美しく整備されています。
             上屋はありませんが、車体にはコーティングが施されて美しく整備されています。
           (右)社員の研修用資料だけあって、内外の細かいところまで見学する事ができます。模型ファンやメカ好きの方には堪らないかも。


                「何だ、まだ走っている電車じゃん・・・」と思う事なかれ。実物の電車の電気機器や床下機器を、止まっている状態で、
                かつじっくりと観察できる機会は意外にないもので、正に「生きた教材」。
                粟生線活性化の一助としても、小野市内での1117号車の静態保存は大きな意味があると思います。

                新天地で第二の人生をスタートした「いいな号」。
                是非一度、実車をご覧いただく事をお勧めするとともに、末長く同地で大切に保存される事を願ってやみません。
                最後に、お世話になりました株式会社カコテクノスの方々に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。


                【ご参考】
                カコテクノス1117号車の見学受付については、こちらです。
                                     http://www.kako.co.jp/topics/shintetu.html

                カコテクノス 公式HP
                                     http://www.kako.co.jp/



       (2011.08.28 記)


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