道場南口の第三車庫に到着した、ミステリートレインの5019F。おそらく神戸電鉄初?の試みですね。


       2007年8月26日の撮影日記から −親子でGO!ミステリートレイン運行−

       この夏の神鉄では、ちょっと風変わりなイベントが実施されました。
       題して「親子でGO!ミステリートレイン」。旧国鉄等で昔一時流行った、いわゆる「行先不明列車」です。
       普段触れることのない鉄道の裏方や、神鉄ならではの特色を実際に体験してもらい、幼い頃から鉄道
       (神鉄)に関心を持ってもらおう・・・というのが今回の趣旨なのです。

       「神鉄でミステリートレインなんて・・・」と思われるかもしれませんが、内容はどうしてなかなかの充実した
       ものでした。
       参加者は事前に広報誌「すずらん」で募集された親子連れ約160名。
       新聞等での募集がなかったにもかかわらず、予想を上回る定員以上の応募があり、最終的には抽選と
       なったそうです!
       今回我が家も応募したところ、運よく参加証が届きましたので当日の様子をお伝えしたいと思います。

       さて、届いた参加証には「西鈴蘭台駅に9時30分までに集合して下さい」との文字。当然の事ながら
       行先は全く分かりません。弁当とお茶をしっかりとかばんに入れ、いざ西鈴蘭台駅へ。

       構内の受付でお茶とお菓子、ウチワ等と車内で行われるクイズ回答用紙を頂き、下りホームへ向かいます。
       夏場の暑い時、これは助かります。
       ホームでは参加者を10班に分け、各班のリーダー(スタッフ)の案内で今日一日を過ごします。


     

         9時55分、特製のヘッドマークを付けた5019Fがやってきました。さあ、それでは出発です!


       晴天の下、西鈴蘭台を発車すると早速車内放送。当然ながら目的地については内緒です(笑)
       粟生線を滑るように走る5019Fは藍那・木津を通過するとスピードを落とし、見津車庫の入換線に進入します。
       という事は・・・!

       実は、第一の目的地がここ見津車庫なのでした。
       見津車庫の奥には、台車を解体せずに車輪の転削ができる車両転削場があり、ここで作業の実際を見てもらおうと
       いうものです。ちなみに見津車庫の一般施設公開は、今回初めての試みです。


     

  作業場には1064-1073の2両が留置中。1073の台車を実際の転削装置にセットして、係員の方に作業の様子を
  説明して頂きました。


       

       約50分強の停車の後、列車は見津車庫に別れを告げ、今来た道を折り返して行きます。
       車内では車掌放送体験も始まり、藍那トンネル通過時には電気を消したままでゆっくりと通過!
       「トンネルの中って電気がないと真っ暗やね〜」とは家内の弁。車内も非常にアットホームな雰囲気で、
       イベント列車に乗ってるんだな〜という実感が沸いてきます。


       

       列車は11時12分に鈴蘭台へ到着し、すぐにそのまま鈴蘭台車庫の引上線へ。
       いつも乗っている線路が、今日は遥か右へカーブしながら下っていくのが分かります。
       構内の係員の誘導で、一旦列車は停車します。


   

  そうです。次は鈴蘭台車庫の洗車体験!車内に居ながらにして、自動洗車機の様子を体験できるというもの。
  数年前のトレインフェスティバルでも大人気でした。一回目は洗剤を吹き付け、二回目の通過で水洗いをして洗剤を落とす
  仕組みだそうです。 これには大人も子供も、歓声を上げて大はしゃぎ!。

  ここで約一時間の停車。停車時間を利用して、参加者はそろそろ昼ごはん。我が家もおにぎり弁当で腹ごしらえです。
  何でもない、いつもの電車の中なのですが、今日だけはちょっと童心に帰って遠足気分♪

  12時03分、列車はゆっくりと車庫を発車。鈴蘭台駅3番線に進入するとすぐに発車、有馬線へと進入して行きます。
  ホームには十数人のファンの方が、興味津々でカメラを向けていました。


    

  列車は鈴蘭台から有馬口までノンストップで、これも普段は体験できない電車の旅。パワフルな5000系の走りはストレスを
  感じさせず、気持ちのいい走りっぷりを披露します。
  思わずいつの日か、特急列車の復活する事を願ってしまいました。


       

       有馬口を出発すると列車は三田線へ。五社を通過して岡場には12時32分に到着、ここでもファンの方々の
       歓迎を受けました。
       列車はここで約一時間の停車。参加者は昼休憩と併せ、班毎に分かれて岡場駅の駅員室見学です。


   

  (左)並んでいるのはPTC装置のモニター。意外にコンパクトです。
  (右)遠隔監視システムの操作風景。監視カメラは意外にはっきり写りますので、何をやってるかは駅員さんにすべて
     お見通しですよ(笑)


   

  (左)普段は表側しか見る事のない自動券売機の裏側。駅員さんが丁寧に説明してくれます。
  (右)切符の元になるロール紙。一巻きで約5000枚の切符が印刷できるそうな。


       

       デジタルな機械が多い中、懐かしい連動装置も健在!


       

       駅員室の外では自動改札機のカバーを開けて仕組みの説明。
       一瞬で切符が改札機を通り抜ける様子を目の当たりにし、子供たちは目を丸くして「早〜い!!」


       

       約一時間の停車の間、本線では列車の交換が4回行われます。
       ウルトラマン兄弟と並んだミステリートレイン、間もなく発車の時間が迫ります。

       13時33分、岡場を出発したミステリートレインは、さらに北上を続けます。
       道場南口の第三車庫が見えてくると、何やら怪しい車両が・・・。ふと次男が「あっ、かしゃでんしゃ!」


       

       最終目的地は、ここ道場南口の第三車庫でした。
       停車している電気機関車701は、普段ホッパー貨車のクホ761・サホ762形を連結し、プッシュプル編成を
       組成しているのですが、今日はなんと単機でのお目見え!かしゃでんしゃデヤの姿も見えます。


   

  13時38分、ミステリートレインは道場南口上りホームに到着。ほどなく進行方向を変え、ゆっくりと車庫内を進んでいきます。
  やがて列車は車庫内のホッパー荷卸場に停車。ここをホームにして参加者は全員下車となりました。


       

       今年3月に全般検査を終了し、ピカピカの電動貨車デヤ750形。青空の下に茶坊主の塗装が光っています。



   

  (左)先日7月にこちらも全検を終えたばかりの電機701号。いつもみんなの人気者で、車内見学には長蛇の列ができました。
  (右)デヤ750形では、25mレール積込作業の実演中。硬い鉄で出来たレールが、思った以上に曲がる様子に参加者もびっくり!


    電気機関車701号の見学で、車両課の方に少しお話を聞く機会がありました。
    車齢は既に60年近くとなったおじいさん機関車。最近は点検時の部品調達も年々難しくなり、保守する側のご苦労は
    並大抵ではないようです。 「でも個人的には大好きなんですけどね・・・」の言葉が印象的でした。
    どうかこれからも末永く、元気な姿を見せてほしいもの。


       

       傍らでは車内で出題されたクイズの解答です。
        10問全問正解した参加者には抽選で豪華景品(?)がプレゼントされました。

       ちなみに、問題の一部を公開してみましょう(解答は一番下に記載)

       Q:2006年、神戸電鉄では創立何周年を迎えましたか?
       1.60周年  2.80周年  3.100周年  4.120周年

       Q:この電車(5000形)で、運転台のある車両の定員は何人ですか?
       1.102名  2.112名  3.122名  4.132名

       ちなみに我が家は全問正解ながら、抽選は残念ながらはずれ!
       残念賞として、5000形のペーパークラフトを頂きました(笑)


       

       まだまだ外は暑い日ざしながら、どこかに秋の気配を少し感じるようになった一日。
       14時過ぎに道場南口車庫で現地解散。参加者の方々も楽しい思い出をお土産に、それぞれ家路に就きました。
       15時08分には大役を果たした5019Fも鈴蘭台へ回送されて行きました。


       

       5019Fの回送後、やや遅れてデヤも鈴蘭台へ帰って行きました。
       当日未明まで夜勤で大忙しのデヤ。少し早くなった夕日を眩しそうに顔一杯に浴びて、少々お疲れかな?
       電機701号は翌日27日に単機で鈴蘭台へ回送、デキのみの珍しい回送風景を久々に披露しています。

       26日のデキ回送風景については、「神戸鉄道資料館」にてれいらっく氏撮影の写真がUPされていますので
       こちらも是非ご覧下さい。



       今回、親子で参加した「一人の父親」としての感想ですが・・・

       最初に書いた通り、今回の趣旨はさまざまな体験や見学を通じ、鉄道への関心や興味を持ってもらおうと
       いったもので、神鉄でも初めての企画でありました。
       各部署から横断的な対応が必要な事もあり、実現にはさまざまな苦労や紆余曲折があったようです。
       参加費が無料だったのに対し、事前の準備や人員の配置・参加者への対応等を考慮すれば、実質的な
       利益としては厳しいものかもしれません。しかし・・・。

       果たして、残暑厳しい一日だったにもかかわらず、参加された方々の表情はどうだったでしょう。

         「これも何かのご縁ですから、皆で記念写真を撮りましょう!」とにこやかに呼びかける班長さんと、
         それに応えて嬉しそうに写真に納まる参加者の皆さん・・・
         洗車体験で童心に戻ったように歓声を上げ、窓外に見入る家族連れの姿・・・
         帰り際にわざわざ係員の傍らに走ってきて、「ありがとう、バイバイ!」と手を振る子供さん・・・。
         「ありがとう、また来てね」と笑顔で返す係員さん・・・

       親子連れがメインという事もありますが、撮影時に罵声が飛び交うような事もなく、非常に和やかな雰囲気で終始
       過ごせた事は大きな収穫です。ひとえに事前の念密な準備と係員の方の配慮が大きな要素ではないかと思います。

       そして、どの光景も皆明るい表情で眼が輝いていたのが印象的です。
       これらは直接収入に結びつくものではありませんが、長い目でみればきっと、将来の神鉄にとって強力な
       サポーターとなってくれるはずで、単純に金銭に変えられない貴重なものがあります。
       そういう意味では、決して単なる地域イベントではないのです。       

       今回のイベントを通じて感じたのは、参加された方々の神鉄に対するイメージが変わったのではと思う事です。
       「鉄道への関心がより深まった」のも勿論ですが、それ以上に「乗客」と「現場」の距離感が、すごく近くなったと
       いうのが何よりの収穫ではないでしょうか。これはお金だけでは決して得られません。
       すつかりクルマ時代となった現代の子供達へ、大事なメッセージが少しでも伝わったのではないかと思います。
       昨今はすっかり無人駅が多くなって駅員さんとのコミュニケーションが少なくなった同社ですが、沿線を巡回する
       係員の後姿を見つめる熱い視線は、明日から変わっているかもしれません。
       叉、そうあり続けて欲しいと、心から願います。

       さて、貴方のミステリートレインのご感想はいかがでしたか?
       「楽しかった」「暑かった!」の一言や、ご参加頂いた方・そうでない方にかかわらず、「こんなイベントを
       次回はやってほしい!」でも結構です。お気軽にお寄せ頂ければ幸いです。

       地理的な要素もあって同じ企画の続編は難しいかもしれませんし、改善すべき点もあるかと思いますが、是非知恵を
       絞って次回の楽しいイベントを企画して頂き、将来の力強い神鉄サポーターを増やして頂きたいと思います。

       最後に、今回のミステリートレインでお世話になった皆様へ・・・
       暑い中、楽しい一日を本当にありがとうございました!この場を借りまして厚く御礼申し上げます。




       上記クイズの正解  一問目:2.80周年    二問目:3.122名

       (2007.08.28 記)


                                                                                                                 −TOPへ−

   

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