−「さよなら800系」・・・1993年3月21日 最後の晴れ姿の時(前編)−

         日付けは変わって3月21日。前日の曇天とは打って変わって、早春の好天に恵まれました。
         今でこそ鉄道ファン向けの行事は折に触れて多数開催される事も多くなりましたが、神戸電鉄において本線上の
         さよなら運転を実施したのは、多分今回が初めてだったと思います。

         当日のさよなら運転列車ダイヤは、下記の通りです。全列車とも臨時普通列車として設定され、乗降も自由。
         運転されるのはもちろん、旧塗装・オール片開きの編成美を誇る852F(852-808-807)。
         道場南口の工臨用留置側線では、新塗装の861F(861-802-801)が展示される事となりました。
        

新開地 鈴蘭台 谷上 押部谷
11:05 8510K ○10:50
11:12 8715K 11:38
12:35 8750K 12:09
12:42 8555K △12:57
13:52 8550K ○13:37
13:57 8355K 14:36
15:35 8350K 15:01
15:42 8565K △15:57


         さて、前日のロケハンも完璧。運転ダイヤも頭に入れ、満を持して鈴蘭台へと向かいます。
         鈴蘭台車庫へ向かう道中では一見して「鉄い人」と分かる人、人、人だらけ・・・。これもおそらく、神戸電鉄では
         初めての事でしょうか。
         鈴蘭台車庫には特製のヘッドマークを付けた807Fが、綺麗に磨かれた車体を輝かせ、1105Fと肩を並べていました。


         

         出庫までの時間、検車課のご好意で特別に車庫内での撮影が許可されました。
         普段ではまずありえないだけに、当日のご対応には今でも感謝しております。

         

         鈴蘭台車庫を後にして、撮影地として有名な車庫西側の大カーブへ。現地は新開地へ坂道を下って来る852Fを
         待っているファンで鈴なり。今まで見た事のない風景に一瞬たじろぎました。
         「さよなら」の文字が付くだけでこんなにも違うのですね。
         いつもの姿がマイナーな?神鉄だけに、本当はもっと普段着の姿を知っていて欲しかったという気持ちもあって
         少し複雑な心境でした・・・。

         

         鈴蘭台車庫西側の大カーブを行く852F。今日まで何度、ここで彼らに向かってレンズを向けた事でしょう・・・。
         さて、鈴蘭台駅からは折り返してくる852Fに乗車して谷上へと向かいます。

         実は今回の運転で特筆される区間が、この8715K〜8750Kなのです。
         有馬線の鈴蘭台以北は91年10月改正により三田線末端部の4連直通運転が開始され、800系によるK3連運用
         (道場南口〜三田間区間運転)が消滅。以降は鈴蘭台以北の運転が無かった為、久しぶりの有馬線系統への
         入線となりました。

         又、今回のさよなら運転は午前中は有馬線系統、午後は粟生線系統での運転です。
         ファンの痒いところに手が届いた設定ですね。

         最後の800系の乗車区間をここにしたのは、こういった理由があったからです。

        

        「谷上」「普通」の方向幕を掲げて852Fが折り返して来ました。ここから谷上へと向かいます。

           

        (左)車内は殆どが私を含めた「鉄い人」ばかりでしたが、一部は普通の方々も乗車されていました。
        (右)車内の宙吊り広告は全て「さよなら800系」に変更されていました。全走行距離15,050,000kmの数字が
        歴史を語ります。














   走れ、800系! 歩みを止めるその時まで・・・




         

         

         定刻11:38に谷上駅到着。ここで約30分のインターパルを取り、新開地へと折り返します。
         当時は折り返し列車が使用していた3番線でしばしの休憩。編成写真撮影にはもってこいのロケーションで、
         たちまちカメラの砲列が出来ました。
          (写真はいずれも93.3.21撮影)

          (後編に続きます!!)


                                                                             
 

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